税金は政府の財源ではない
「政府の支出は税金で賄うもの」
これ、政府の財政の話になるとよく聞く言葉です。
なので、こう思っている方は多いと思いますが、実はこれ、誤解なんです。
というのも、税金の本来の役割は、政府の財源ではなく別にあります。
ですが、その役割の中で税金を財源とすることがあるので、このような誤解が広まったのだと思います。
それでは、税金の本来の役割とは何なのか、見ていきたいと思います。
税金の本来の役割
ビルト・イン・スタビライザー
自動安定化装置とか景気安定化装置とも言われ、景気変動を自動的に安定させる役割があります。
例えば所得税です。
所得税は累進課税で、所得が増えると税額も増え、所得が減ると税額も減ります。
これは景気が良くなりすぎた場合、所得の増額に合わせて税額を増やし所得を減らすことで、お金をあまり使われないようにして、インフレが行き過ぎないようにします。
逆に景気が悪くなると、所得が減額されますが、それに合わせて税額を減らすことで、できるだけお金を使ってもらいやすいようにして、デフレにならないようにします。
まあ、累進課税制度だけで景気が安定するわけではないので、景気を安定させる政策の1ついったところでしょうか。
所得再分配
所得再分配は所得格差縮小のために行われます。
なぜ所得格差を縮小させる必要があるのかですが、所得格差が拡大しすぎると社会が不安定になるからです。
所得格差が拡大しすぎるということは、生きていくのがやっとという人が増え、暴動などが起きる可能性が高まるからです。
実際、歴史を見ても、日本では百姓一揆とかありましたし。
なので、所得格差を縮小させるためには、高所得者層は税率を高くし、低所得者層は非課税もしくは税率を低くします。
そして、徴収した税金をセイフティネットや国民向けの公共サービスとして支出すれば、所得格差を縮小させることになります。
流通通貨の強制
日本であれば、流通通貨は日本円です。
ですので、日本政府は支出は日本円のみで、国民の納税は日本円に制限しています。
上記のように通貨を制限されると、日本国民は納税のために日本円を稼がないといけません。
だからこそ、日本国民は日本円を使わざるを得ないのです。
これが流通通貨の強制です。
その状況で、国内で米ドルなど外貨も使うのかというと、その必要性はないと国民が判断しているので、現在の日本では日本円のみ使われています。
ただ、発展途上国では、国民からすると、いつ使えなくなるかわからない自国通貨を信用できないので、自国通貨より米ドルが使用されていたりします。
何かを抑制させるための課税
これまで挙げた税金の本来の役割とは別に、何かを消費するのを抑制する、何かの発生を抑制するなどといった、何かを抑制するという理由で課税されることもあります。
例えば、たばこ税。
これは、たばこの消費を抑制し、たばこによる健康被害を減少させることを目的としています。
他には、環境税があります。
これは、二酸化炭素の排出量を抑制し、地球温暖化を進めないようにするためのものです。
それでは消費税はどうでしょう。
たばこ税等と同じように考えると、課税する理由が何であれ、消費税により消費は抑制されます。
消費税は、需要の落ちている不況の時でも、一定率で徴税されますので、消費が抑制され、需要を伸ばして景気を良くするのは難しくなります。
現在の日本がこの状況です。
逆に、景気が良すぎる場合、消費税により消費が抑制されると、インフレが行き過ぎないよう抑えることができます。
つまり、消費税の導入はデフレ対策ではなくインフレ対策です。
なので、消費税が現在のデフレ状況の日本経済の足を引っ張っている原因の1つと言えます。
また、経済の状況に合わせて税率を簡単に変えられないということもあるので、今の日本にとって消費税は悪税と言えます。